米国の中間選挙の結果
今回の米国中間選挙では、上院で共和党が過半数を維持したものの、下院では民主党が逆転して過半数を握りました。
そのため、下院の委員長ポストもすべて民主党がとります。
「ねじれ議会」となったため、トランプ大統領の思うようには法案が通せなくなりました。
従って、大統領の自由のきく大統領令で、外交・通商分野でのトランプ流をごり押ししてくる公算が大きくなりました。
一方、下院では、これから、トランプ大統領のロシア疑惑や脱税疑惑等が厳しく追及される見通しとなりました。
トランプ大統領は早速、ロシア疑惑潰しのために、中立的態度を取ってきたセッションズ司法長官を解任して、大統領の忠実なしもべであるウィテカー代行をおきました。
さらに、欧米のマスコミでは、ロシア疑惑を主導的に捜査してきたミュラー特別捜査官の解雇が予想されています。
この突然の司法長官解任に、民主党は「著しい職権濫用だ!」と強く反発しています。
これからは、大きな政治闘争が生じ、大統領のイライラが爆発する場面が頻発したり、大統領弾劾となることもあり得ます。
さて、トランプ大統領の特徴は、世界的視野でのリーダー政治ではなく、あくまでも米国、特に自分の選挙支持者の利益のために露骨に動くことです。
今後は、2年後の大統領選挙を見据え、さらにこの傾向をさらに強め、「アメリカ・ファースト」を強力に推し進めていくことでしょう。
日本としては、ヨーロッパやアジア諸国と緊密に連帯していきながら、世界共通のルールを強調していく必要がありますが、「トランプ大統領との蜜月関係」を売り物にしている安倍政権は、ジレンマにさいなまれることでしょう。
なお、貿易・通商問題では、米国民主党も対日強硬派が多いので、トランプ政権と一緒になって米国利益の貿易・通商政策を推し進められると、日本としてはかなり厳しい時期を迎えそうです。